| ティムバランド&ミッシー・エリオット傘下に入ったフィラデルフィア出身の女性MCのデビュー・アルバム。ジェイドは激しいフロウの有能なMCであり、(2)や(12)といった説明不要のタイトルが示すように、マイクをロックする自分の能力を自慢する。ひどい男やくだらない男について語ると生き生きし、能力をいかんなく発揮している。たとえば、(16)では、昔の恋人を当時のことを思い出してこっぴどく叱る。たまたまミッシー、ジガ、このミス・ジェイドとティムバランドがプロダクションを手がけたアーティストが同時期に3組揃ったわけだが、ちゃんとそれぞれの個性に合わせて異なるプロダクション・スタイルを使い分けているあたりは、プロデューサー=作家としてまだネプチューンズより格がひとつ上であるところを示していると言えよう。ミッシーのオールドスクール・ヒップホップへのオマージュ/コラージュはここには微塵もなく(逆にこのことが彼女のアルバムのコンセプトを間接的に証明している)、もちろんジガ用の威圧的なエレクトロ・バウンスとも違う、フルートやギター、マンドリンなどの生楽器のループや、中近東や南アジアのサムプルを駆使し、アクースティックなタッチのパーカッション・サウンドを積み重ねた、どこか無国籍なトランスナショナル・クランク・スタイルを採用、トライバル・ドラムズ、苛々したギター装飾フレーズ、劇的なストリングス・アレンジメント、ソウル・サムプル、ダーティサウス・バウンスをパイ皮のように重ねたボ}ン今年一番のヒット(10)、シンドラムが舞い踊る"G-String"リディムの(12)と、サイバーR&B、ディスコ、テクノ、インディアン・ソウルカリプソのカオスが渦を巻くなか、しゃっくりしたようにシンコペイトするグルーヴなら、形式不問でのりこなせるフリースタイルMCが、狂気じみたポリリズムの精霊に取り憑かれ、ひっきりなしにギア・チェインジする。(17)が使用したファースト・ネイム・プロダクションの最新リディム"Threat"は、なんとハウス・ベースだ。一方で、今年ソロ・アルバムも出したカナダのR&Bプロデューサー、ジャーヴィス・チャーチと共演したラヴァーズ(7)のような箸休めも忘れない。賛美歌"Joy To The World"をクラシカル・ストリングスつきで爆破した(16)も凄絶。象男のメーター振り切れの破天荒ぶりを前にすると、元型のはずのバスタ・ライムズの新作なんてとてもじゃないが、生ぬるくて聴いてられない。 A MINUS |
| Beenie Man | Tropical Storm | |||||||||||||
| Virgin | [US]13134 | (P)2002 | ||||||||||||
| [Producer]Dave Kelly(1,8),The Neptunes(2,3,10),Irv Gotti(4),Clue&DURO(5),Anthony Kelly(6),Stargate(7),Tony Kelly(9),So Solid Crew(11),Devonte(12),Sly&Robbie(13). | ||||||||||||||
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